伸栄学習会が所属する研究会で、京都大学の溝上教授をお招きして、アクティブラーニングについての勉強会を開催した。
溝上教授はアクティブラーニングの第一人者。現在、神奈川県の桐蔭学園で教育顧問として実践的な指導をもされている。
アクティブラーニングとは、文科省の定義によると、「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」。
現在、大学では当たり前のように実践されていて、これを行わないと補助金も削減される。教授が古いノートをぼそぼそと読み上げる授業は、大学からは姿を消している、とのこと。
このアクティブラーニング、文科省の肝いりで、小中高にも導入が決まり、今、教育界で大きな話題を呼んでいる。
この手法、学習塾でも取り入れるべきかどうか、取り入れるとしたらどういう形が望ましいか、さまざま議論されていて、この日も70名以上の参加があった。
この日の話で、一番、納得したのが、なぜ、アクティブラーニングを導入しなければならないのか、ということ。
溝上教授によると、「トランジション」を抜きにしてアクティブラーニングは語れないとのこと。
トランジションとはキャリア(人の一生)で必ず起こる「移行」のこと。
小学校への入学、結婚、転職などはトランジションの一例だが、就職も重要なその1つ。
現在、就職でつまづく学生も多いし、就職後すぐに退職する人も多い。つまり、学生から社会人へのトランジションがスムースにいかないケースが多い。
社会で必要とされる能力が、学校で育てられていない。
しかも、2000年代になって、企業は新卒者を従来のように一から育てる余力を失った、だから、それを学校で育てなければならない、それが、アクティブラーニングが求められる理由、とのこと。
アクティブラーニングとは、「社会につながっていく力」を育てるもの、という言葉が印象に残った。
なぜ勉強しなければならないのか、という問いに完全に答えるのは難しい。
でも、社会で通用する力を育てるため、というのは完全であるかどうか別にして、1つの答えであるのは間違いない。
アクティブラーニングを、キャリア教育の一環として捉えようとする溝上教授の話には大いに納得がいった。
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