ちょっと面白い本を読んだ。
荒井一博『学歴社会の法則』という光文社から出版されている新書。教育を経済学の視点で分析していて、しかもとても読みやすい。
いろいろな学びがあったが、面白かったのが、男子の大学教育の私的収益率ついて。
1980年代のデータでは、何と6%台との指摘。
大学教育を投資と考え、授業料その他の支出に対して、どのくらいの見返り(生涯所得のアップ)があったのかを計算したもの。
この6%という数値は十分魅力的ではないだろうか。4年間の大学投資に対して、生涯6%の配当(利子)が戻ってくる計算になる。銀行預金などよりずっと効率がよい。
私立大学の学費は高い。年間授業料は100万円に達するし、交通費・書籍代などを考えればべらぼうな金額になる。それでも、「投資」として十分成り立つとすると、「受験勉強」の価値は大いにあるという結論になる。
ちなみに、私立大学の医学部の投資収益率は8.7%、国立大学の医学部は17.1%。しかも、これは勤務医の数値とのことで、開業医ならこの2倍になるだろうとのこと。医学部に人気が集まるのも理解できる。
その他、バウチャー制度、教育の外部経済、所得格差と学歴との関係など興味深い指摘が多々あった。お時間のある方、ご一読をお勧めします。
コメントを残す