『大学入試の戦後史』の著者、中井浩一氏のお話を伺った。
中井氏は国語専門塾を経営する一方、高校・大学教育などについて数々の書籍を著している方だ。
この日は「大学全入時代の後に来るもの」というテーマで、同著の執筆の経緯などを伺った。話は大学入試の現状、それを取り巻く日本の社会構造、さらにはアメリカの大学入試制度、それにAO入試や小論文など多岐にわたった。
「今や入試選抜を実質的に行っているのは、国公立とMARCHまで。それにもかかわらず、大学が入試を行っているのは選抜をしているフリをしているだけ。しかも、社会全体がそのことにグルになって加担している」
「こんなことになっている理由は、日本はムラ社会だから。ムラ社会の内部には基本的には競争がなく、競争があるのはムラの入口部分だけ。それが大学入試だ。ムラを守るためには、入口の競争をなくすわけにはいかない」………という部分は印象に残った。
確かに、AO入試や一般推薦入試で競争率が1倍、あるいはそれに近い大学はたくさんある。一部の大学を除いて、入試選抜機能が急速に失われようとしているのは実感できる。
講演後の質疑応答それに雑談では、「学力的に何でもあり」の大学の現状や大学の目的について花が開いた。
ふだん、子どもたちと接していると、どうしても日々の勉強のことなどに目が行ってしまう。そんな中、巨視的な視点を与えてくれた中井氏に感謝する次第だ。
コメントを残す