先日、ある教育専門家を囲んで、中学受験についてのフリーな座談会が開かれた。
出席者は、ベテラン塾長や私立関係者、それに出版社の方などいずれもこの道の「プロ」。中学受験を巡っての生々しい実例や、鋭い分析などが披露されとても充実した時間を過ごした。
今春の中学入試は受験率を記録を更新するなど、最高の盛り上がりのなかで終わったが、この「熱狂」に対して、いくつかの問題点の指摘があった。
その1つが、子どもの将来に不安をかき立てる風潮が顕著になったこと。ビジネス系の出版社が中学受験の雑誌を創刊したこともあり、父親の参戦が目立つようになった。このため、数値やデータ(特に大学受験実績)が一人歩きするようになり、その結果、やみくもに受験する傾向が顕著になったそうだ。
子ども不在の受験戦争の中で、深刻な問題に発展した事例の紹介もあった。
その2に、子育てが、実用的・功利的な視点に振り回される傾向が出てきたこと。本来、学校選びは、子どもの一生を考えて長い目で考えるべきところ、目先の利益を追求する保護者が増えてきたとのことだ。学校に対する理不尽とも言えるクレームはその現れの1つと考えられるそうだ。
第3に主体的な学校選びがされなくなったこと。「行列に並べ!」ではないが、人気化した学校にゾクゾクと詰めかける傾向が顕著になったとのことだ。一昔前なら、人気化した学校を避けて、わが子に合った学校選びをする保護者が多かったが、最近では、人気化したところはますますそれに拍車がかかるケースが増えてきたそうだ。
最近、「格差社会」とか「下流」という言葉をよく耳にする。わが子を“エリート”に育てたい、というより、むしろ、「下流になる可能性を減らしたい」という気持ちが中学受験に向かわせているとのことだ。
確かに、公立中学はいろいろな問題を抱えている。しかし、この日の発言を聞いていて、中学受験について改めて考えさせられる部分がたくさんあった。
中学受験の価値はそれそれの家庭が判断すればよい。ただ、塾は、客観的な情報もっと提供しなければならない、それこそが、塾の使命ではないかと強く感じた日であった。
ご無沙汰申し上げております。全く同感です。塾人として、指命を感じます。
コメントありがとうございます。教育の問題は、流行や表面的な動きだけで判断してはならないと自戒しております。回答が遅くなり申し訳ありませんでした。