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 長女と次男が何やらひそひそ話をしている。耳をはさむと、どうもオカルト話のよう。霊がどうの、呪いがどうのと真剣に言い合っている。いい年してバカなことを(長女はもう高校生、次男は中学生)、と思いつつ話に入ってみた。


 ヤマダユウスケという言葉が出てくる。ヤマダ………って誰だ? こんな名前聞いたことがない。ひょっとして、漫画家か?


 ところが、次男によると、今、大流行の小説家で、クラスでも大人気。男の子も女の子も読んでいるそうだ。「すごく頭のいい作家」で、あこがれも感じているようだ。


 たまたま、彼が友だちから借りてきた2冊が家にあった。中学生がどんな本を読んでいるか、職業的な義務感もあり1冊手にしてみた。


 『親指さがし』。


 これが面白い!年甲斐もなく、一気に読んでしまった。ストーリーに緻密さは感じなかったが、着想にリアリティを感じる。登場人物に心が乗り移ってしまった。


 ついでにもう1冊。『リアル鬼ごっこ』。


 これも面白い。途中で結末が見えてしまったが、一気に読んだ。


 子どもたちの間で流行っている本で、面白いと思うものはあまりなかった。しかし今回は例外。楽しめた。


 ただ、違和感があった。それは、人殺しを簡単にしてしまうこと。


 分野は違うかもしれないが、松本清張や西村京太郎それに横溝正史等など、これまでの推理小説では、殺人に対してある種の正当性やためらいが感じられた。それが、この若者作家にかかると、いとも簡単に人を殺してしまう。


 作風の違い………と言われれば、それまでかもしれないが少し気になる。

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