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 家族全員でモーツアルトのレクイエムを聴きに行った。


 会場はみなとみらいホール。以前から行きたいと思いつつも、なかなかチャンスがなかったのがやっと実現。


 それに、モーツアルトのレクイエム。今年は、「モーツアルト・イヤー」のため、いろいろなオーケストラが上演しているが、案外、演奏会で取り上げられる機会の少ない作品だ。


 そんなこともあって、かなり、期待してホールに向かった。


 ところが、入口で配られたプログラムを見てびっくり。何と、レクイエム全曲ではなく、しかも、曲の途中に詩の朗読やらグレゴリオ聖歌が挿入されている。なんだか、だまされたような気分。


 モーツアルトの他の作品などの前置きの後、念願のレクイエムが始まる。ただ、2パートが演奏された後、突然、曲が中断して詩の朗読が始まる。


 「なんだ、これは!」


 その後、途切れ途切れに、合間に詩の朗読やらグレゴリオ聖歌が入ってくる。
しかも、半分少し過ぎたところで演奏は終了。いくら、後半部分はモーツアルトの真作ではないとはいえこれはひどすぎる。


 「死」について何かを語りたいという意向のよう。でも、この日の演奏は、死というよりきらびやかさが感じられ、とてもちぐはぐな印象。


 ところで、高校生の長女はトナリに座る長男に泣き崩れるように体を預けている。中学生の次男はイスに深く座りつつ、顔を天井に向けている。ちょっと見ると、期待の裏切りに対して体全身が抗議しているよう………


 もちろん、そんな子どもたちではない。


 ただ、眠っているだけ。


 せっかく演奏会に連れてきたのに、いったいおまえたちは何を考えているのだ!!

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