2019年2月号……『指定席』 塾長/青沼 隆
言われてみれば当たり前。でも、案外、それに気付かないものがあります。子どもの進学に係わることでも例外ではありません。例えば、有名中学や有名高校に進学すれば自動的に有名大学に進学できる、というのもその1つです。確率的には確かにその通りです。でも、どの学校にも成績のよい子と悪い子がいます。成績順で半分より下の子どもに焦点を当てると、一般に思われている姿とは全く別の世界が広がっています。
それはそれとして、ここで取り上げたいのは、高校でも中学でも入学後の1学期で「指定席が決まる」ケースが多い、ということです。子どもも保護者も、中学受験や高校受験が終わると「ホッ」とします。首尾よく第一志望に合格できればなおさらだと思います。ただ、その数ヶ月後、新しい学校生活が始まり、そして定期試験が待っています。その結果、「序列」が作られるわけです。これが、一般に思われている以上に大きな意味を持つのです。つまり、その成績が、その学校の(私立中学ならその後6年間の、高校ならその後3年間の)指定席になる可能性が高い、という事実があるのです。
そもそも、私立中学も高校も(高校の場合は私立・公立問わず)偏差値で輪切りされてから入学することになります。公立の小学校や中学校では、成績の最上位の子どもから最下位の子どもまで幅広いレンジで同じ学校で学びます。ところが、私立中学も高校もかなり狭い範囲で成績が区分されて入学しています。すると当然、成績の上下の範囲がとても狭い中で一緒の学校生活を送ることになります。ですから、すこし努力すれば上に行けますが、反対に、すこし怠ければあっという間に下に落ちてしまいます。
そんな中で新しい学校の定期試験が初めて行われるのですから、これまでに以上に頑張ってよい成績を取る努力をすべきです。ところが、多くの子ども(場合によっては一部の保護者)も、受験が終わったという解放感もあり、あまり深く考えないまま新しい生活に踏み入れてしまいます。そして、これまで取ったことのない成績を目の当たりにして愕然とする、そんな光景が毎年見受けられます。
人は第一印象が大切と言われます。学校生活も同じです。最初の成績がよければ、「あいつはできる」、反対に悪ければ「あいつはできない」というレッテルを貼られます。このレッテルというものは、成績を出す先生からの評価でもありますが、生徒間でも意識するものです。もっとまずいことには、そのうち本人も「そんなものか」と現状を受け入れてしまいます。
受験が終わると誰でもホッとします。一休みしたくなるでしょう。その気持ちはわかります。でも、生徒の人生はこれからです。それに、最終学歴を大学とすれば、中学や高校はまだまだ「過程」の段階です。だから、絶対に手を抜いてはいけません。受験生は本当に身を入れて勉強してきました。それを、受験が終わっても3ヶ月間はこれまでのペースを保って欲しいと願っています。
「3ヶ月間だけでいいのですか?」という質問もよく受けます。そのときには「3ヶ月だけでよい」と答えています。なぜなら、3ヶ月たてばそれが習慣になるからです。
受験生の皆さん、入試後の3ヶ月で新しい学校の指定席を、ぜひ「いい場所」に作って下さい。