講師 朝倉 祐二
9月号では国語の特徴について書きました。感覚や常識だけで解けてしまう問題が多いため、知識がなくともある程度の点数が取れてしまい、危機感を持ちにくいのが国語という科目です。しかし、やはり国語は重要な科目に違いなく、また、勉強の仕方さえわかれば、容易に高得点を目指すことのできるボーナス教科にもなり得ます。
定期テストの国語の点を伸ばす
まず定期テストについては、簡単に、大幅に得点アップできる、と言い切っていいでしょう。定期テストには明確な範囲があり、しかも出題される文章はほぼ教科書に限定され、従って問題のパターンも決まっているのですから、単純に言えば、「そこだけ覚えておけばいい」ということになります。
半面、この明快さが逆に得点を妨げてもいます。授業をうろ覚えで記憶していても、一度は見た文章や問題ですから、テストの問題文をいい加減に読んでも選択問題などをテキトウに回答してしまっています。これを確実な得点にしていくためには、教科書の文章を正しく読み解き、類題を多く解いておく、ということをしなければなりません。
文章を理解して読むということ
伸栄学習会では、主に教科書準拠のテキストを使っていますので、そこでは教科書掲載の文章をそのまま使用した問題に取り組みます。問題を解く前、生徒に「この話は授業で読んだ? 内容を知っている?」と聞くと、たいていは「知ってる」と答えます。しかし「ではどんな内容だったか教えて?」と言うと、実際のところ、おし黙ってしまう子が多いのです。
学校の授業を含め、確かに何度か読んではいるはずですが、登場人物やその名前、あらすじや論の展開については、なんとなく覚えている程度であることが多いです。これでは「読めている」とはいえません。
また、塾の授業で、抜き書き問題や選択肢の問題で誤答をした生徒は「意味がわからなかった」とよく言います。「しっかり読んで」と指導しても、「何度読み返してもわからない」と答えます。よく聞いてみると、さらっと文字を追っているだけで文章の内容を理解せず、意味不明のままで問題を解いているのです。多くの生徒はうろ覚えと無理解でいくらか得点してしまうことが習い性になってしまっています。
文章理解と類題
理解して読む、つまり文章を読解するということは、例えば家でたくさんの本を読むということだけでは身に付きません。
伸栄学習会では、問題の文章の構成・展開を捉え、重要なポイントをおさえつつ内容を理解するよう指導します。この読解力をしっかり体得するだけで、1問も正解できなかったものが、するすると解けるようにった生徒もいます。
読解ができたら、次に類題をこなしていきます。私は国語の問題作成にも携わってきましたが、同じ文章からそれほど多く種類の問題を作り出せるわけではありません。登場人物の感情の変化や、筆者の主張、代名詞が指し示す内容、言葉の言い換えなど、問題の傾向は実際のところ、かなり限られたものになってきます。定期テストが先生のオリジナル問題だったとしても、この傾向はほとんど変わりません。
類題を多く解くことで、国語の問題のパターンが見えてくるのと同時に、本文のポイントも明確になり、理解が深まります。
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以上に書いたことは、何も定期テストだけに通用する安易な勉強法ではありません。教科書でよく知った文章を使い、精読と類題に取り組むことによって着実に国語力を獲得していくことができます。
さらに、高校・大学への進学を目指すときには、難解な長文を初見で読み解くことになります。限られた試験時間の中で確実に文章を読み解くために、読むスピードが重要になってきます。
伸栄学習会では、速読練習のプログラムを用意しており、小学校低学年から高校生まで、幅広く好評頂いています。ご興味のある方はぜひ、講師の山内か私にご相談ください。