小6はこの春、中学に進学します。この時期は本人が意識してもしなくても、周りのオトナの目が変わります。私たち教育関係者から見ると、この時期はこんな変化に少し気をつけるだけで「得する」ことの多い時期と言えます。
さて、中学生になったら部活に入ろうと思っている子どもは多いと思います。なかには「学校の部活にはあまり関わらない、関わりたくない」という子どももいますが、まだまだ少数派です。部活については保護者の関心も高く、さまざまなお考えがあると理解しています。
部活ついて、私はメリットとデメリットを次のように考えています。
メリット ①団体行動の規律を身につけられる。②体力がつく。③技術が身につく。④仲間との一体感・達成感を得られる。⑤先輩・後輩との交流が持てる。⑥一人ならしないであろうきつい練習を経験できる。⑦とてつもない技量を持った選手と出会い世の中の広さと可能性の大きさを知ることができる。
これらの他にごく一部ではありますが、強化選手として高校・大学・企業にスカウトされたり、プロ選手になったりすることもあります(それがいいことかどうかは別として)。
デメリット ①歪んだ上下関係を強いられることがある。②中学生の身体について疎い・関心の低い指導者が多く、競技や練習が原因で肩や膝などに深刻な故障が起きることがある。③効率よくすれば不要になるはずの「待ち時間」が異様に長い。④歪んだ「精神論」を強要する指導者や先輩に出会う可能性がある。⑤自分には合わないだろう練習でもみんなと一緒にしなければならない。⑥拘束時間が長い。
個人的には、デメリットの②についていつも憤りを感じております。また、⑥の拘束時間の長さについては、スポーツ庁が中心になり過度な部活動を是正するガイドラインが公表されています。ちなみに、入賞経験の多い運動部、吹奏楽部やダンス部などは拘束時間が長いのが実情です。(※平日2時間、土日に4時間拘束されるとして、50週部活があるとしたら900時間の拘束になります。)
一昔前、部活には、暇な時間を持て余すと不良行為につながる、だから、その時間を拘束しようという狙いもありました。今はそういう時世ではありませんが、その余熱がないともいえません。いずれにしても、部活に臨んでは、目的を考えてメリット・デメリットについて冷静に考えるべきだと思います。
さて、色々考えたうえで部活をすると決めたら、なんとしても真剣に向かい合わなければならないことがあります。それは「両立する厳しさと向き合うこと」です。
これはオトナになれば自然にわかることではあります。オトナになれば、仕事の他に家事・育児・資格の勉強・趣味・親戚のトラブルの解決など、すべてを並行して進めなければなりません。子どもが部活をするというのは、この「両立する力」を身につける絶好のチャンスでもあります。
「部活が忙しかったから」「部活で疲れたから」「テストの直前まで練習があったから」これらは勉強の量が足りないことの立派な理由になります。(現実になっているケースも多々あります。)これを「部活は忙しいけど充分に勉強をした」「部活で疲れていたけどがんばって目標を達成した」「テスト直前まで練習があったけど、何とか勉強時間を捻出した」に変えられるかどうか、そこが大きな分岐点となります。
多くの子どもにとって、部活の競技や実技そのものは将来の進路を切り拓いていくための役には立ちません。一部で噂をされているような、「部活をしていないと進学に不利」というようなことも一切ありません。子どもの将来に大きく役立つのは、「両立できる計画性と実行力、そして強い意志」です。
本当に部活が自分に必要なのかどうか、本当に自分は両立ができるのか、それを充分に考える機会を持って欲しいと思います。