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講師 山内 雄司

 冒頭のタイトルはご存じの方も多いと思いますが、出典は「三国志演義」です。「人は別れて三日もすれば大いに成長しているものであって、また次に会った時は目をこすってしっかり見なければなりませんよ。」という意味です。

 この逸話を地で行くような出来事がありました。

 先日、ときどき教えを受けている恩師から講習会の案内をいただきました。この方は著名な文化人とも交流が深く、今回の案内にもそうそうたるゲストが並んでいました。

 よく見ると、その中に見覚えのある名前がありました。大学の先輩です。

実は、この先輩、実に素行が悪く、私を含めて多くの人が迷惑を被っていました。大学の授業に熱心とは思えず、数週間姿を消したかと思うと真っ黒に日焼けして、いかにもガラの悪そうな服装で現れるということも数度ありました。

 その中で、なぜか私は気に入られ、何かにつけて「山内、一緒に行こうぜ」と連れ回されました。ただ、学生や教授たちからは、私も同じ穴のムジナと囁かれ、正直なところ辟易としていました。

 こんな人物が恩師の講習会に登場するのに驚きましたが、彼の経歴を見てさらに驚きました。

 同じ芸術系の大学を卒業した後、しばらくして地方の国立大学に入り直したようです。それも、今までとは全く関係のない学部です。さらに、その先、アメリカの誰もが知る名門校に入り最先端技術を研究して博士号を取得し、今は東大の准教授として人工知能の革新的な研究をしているのです。

 Youtubeなどにも出ており、そこで語る言葉には思わず唸ってしまいます。寄せられているコメントも、彼を支持するものが少なくありません。

 かつての知り合いが、ある分野の第一線で活躍しているのは珍しいことではありません。しかし彼に関しては、それとは別の異質な衝撃を受けました。

 というのも、彼の大学在学時はとんでもない「迷惑もの」であり、真面目にコツコツと学問に励むような人物ではなかったからです。それに、しょっちゅう「オレは大物だ」と大言壮語を繰り返していましたが、誰も聞く耳を持っていませんでした。

 そんな彼が、全く方向の違う道に入り直し大成していることに、まるで劇画の世界を現実に見たような思いになったのです。

 この経験から、生徒たちに言いたいと思います。

「身も心も打ちこんだ勉強は本当に人生を変える」、そして、それは、「今、この瞬間から始まっていますよ」と。

 勉強にはとてつもなく大きな可能性があること、これを信念を持って生徒たちに伝えたい、その決意を新たにした次第です。

 近々、彼と何十年ぶりかで会う予定です。新たな発見がありましたら改めてご報告したいと思います。

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