講師 山内 雄司
ある高校で、大学受験に成功した卒業生が現3年生に次のスピーチをしたそうです。「みなさんにとっての一番大きな敵は何だと思いますか? それは『スマホ』です。スマホをいかに遠ざけるかが受験で一番大切なことです。」
何とも単純明快な話だと感心しました。彼女の経験からきている言葉なので、シンプルでも説得力があります。
その後、この言葉を裏付けるような資料が発表されました。学力検査の結果を元にした学力調査レポートです。マスコミなどで大々的な報道されたのでご存じの方も多いと思いますが、そこには、「ゲームの時間の長さ」「動画視聴、SNSに費やす時間の長さ」と「学力試験の正答率」相関が記載されています。
その結果を見ると、「予想通り」というものです。
小学生・中学生とも全教科が、ゲームをする時間の長い子どもほど正答率が低く、特に中学の数学での低さは顕著でした。※グラフ1
動画視聴やSNS利用の時間の長さについても、同様です。※グラフ2
つまり、スマホやタブレットで娯楽に興じることは、勉強の大きな妨げになっているということが証明された調査です。
余談になりますが、スマホはただ手にしているだけで人を弱くします。現代を代表する武術家、光岡英稔氏の説によると、スマホを持っていないときと手にしたときでは、体の安定度が大きく変わるといいます。スマホを操作する・しないは関係ありません。単に手にしているだけで体の安定感が損なわれる、つまり、人は本能的にスマホの悪影響を察知しているそうです。ちなみに、これは実際に実験するとすぐにわかるので試してみたらいかがでしょうか。
昔なら、友達の誘いやマンガ・テレビなどが勉強の妨げでした。ただ、友だちなら夜になれば誘いに来ませんし(夜に誘いに来るのはよっぽどのケースです)、マンガなら捨ててしまえば済みます。テレビも子ども部屋に置かなければ管理できます。
それらに比べて、スマホは身近で手強い相手です。それに、一旦依存してしまうと、離れるのに大変な苦労が必要になります。今の子どもたちは、とんでもない試練と向き合っているのかもしれません。
大人は、子どものスマホ利用をもっと真剣に考えるべきだし、利用時間を制限すべきです。勉強時間を確保できない子どもには、私たち講師も「スマホの時間を減らそう!」と言い続けたいと思います。