2008年6月号……『MARCH合格への道』 塾長/青沼 隆
1.MARCHとは
大学進学実績の分析では、しばしばMARCHが指標として使われます。MARCHとは明治・青山・立教・中央・法政の各大学を指します。私立大学の偏差値ランキングでは、早稲田・慶應・上智に次ぐ2番手に位置します。県立千葉高や県立船橋高などのトップ高校の生徒にとっては「すべり止め」、幕張総合高校や国府台高校の生徒にとっては「目標大学」に位置する大学です。そんな関係から、多くの受験生の注目を集める大学群と言えます。
このたび安田教育研究所から、MARCHへの高校別合格資料をいただきました。データは一般入試の合格者のみで、AO入試や推薦入試での合格者は含まれていません。従いまして、「学力」に焦点を当てて分析するには最良の資料と言えます。
この合格者を各高校の卒業生数、偏差値ランク別に分析したのが下表の資料です。これ以下、同封の資料をご覧いただきながらお読み下さい。
2.表の読み方
まず、表の一番左にある数値(65とか60など)は各高校の偏差値です。この偏差値は、資料の一貫性から、卒業生が入学した3年前のものを使用しました。また、都立高校の資料と連動させる必要から“進学研究会”のデータを使いました。伸栄学習会で利用している“総進図書”と比較すると偏差値45~65くらいの高校では3ポイント程度甘く出ます。例えば、幕張総合高の場合、進学研究会は57ですが、総進図書では60となります。ですから、総進図書の数値を使う場合、表の偏差値に3をプラス下さい。
高校名の後にある( )の数値は、「その高校の卒業生何名に一人がMARCHに合格したか」を示します。この表で最も重要な数値です。例えば、県立千葉高の場合は1.5となっていますが、これは、千葉高卒業生の1.5人に一人がMARCHのどこかの大学に合格した事を意味します。千葉女子の場合、18.7となっておりますが、これは千葉女子の卒業生18.7人に一人がMARCHのどこかに合格したことを意味します。
( )の数値はあくまでも「合格者」で「入学者」ではありません。ふつうの場合、受験生は複数の大学に出願します。合格する生徒は複数の大学に合格します。ですから、一人の生徒が複数の大学に合格していることを考えますと、卒業生の人数ベースで捉えるには、( )は2~3倍にする必要があるかと思います。例えば、幕張総合の場合3.9となっていますが、実際の卒業生ベースでは6~10人に一人がMARCHに合格していると考えた方が無難かと思います。
さて、これらを踏まえていただいた上で改めて表を見ますと、次の3つのことが読み取れるのではないかと思います。
3.表から読み取れること
(1)偏差値60の壁
まず、偏差値60で大きな壁のあることをご理解いただけると思います。偏差値60以上の高校の( )内は概ね2以下です。これは2人に1名がMARCHに合格していることを意味します。そして、偏差値60以下ではこの数値が5以上になってしまいます。ですからMARCH以上の大学に進学するには偏差値60以上の高校に進学する必要があるといえます。
(2)偏差値55の壁
次に偏差値55でも壁のあることがわかります。偏差値55以下では、( )の数値が20とか30に跳ね上がります。これらの高校では、クラスに1人くらいしかMARCH合格者が出ないということを読み取ることができます。
(3)都立高校との比較
また、ここ十数年、千葉の公立高校の合格実績が落ちています。この表では、偏差値60以上では差はほとんどありませんが、50~60のところで少し差が生じていることが読み取れます。都立高校では学校改革が急ピッチで進んでいると言われますが、県立高校ではまだまだです。これらの差によるものかもしれません。
4.最後に
以上、MARCHの一般入試の合格状況を見てきました。くり返しになりますが、これらはあくまで一般入試、すなわち、英語や数学のペーパー試験を経た入試結果です。
大学入試にはこの一般入試とはまったく別のAO入試や推薦入試があります。これらの入試では、原則としてペーパー試験はなく面接や小論文で勝負が決まります。AOや推薦では一般入試とはまったく別の世界が展開されます。
MARCHは一部の成績上位生を除けば、「目標大学」であり「あこがれの大学」です。この目標に到達するにはどうしたらよいか、即ち、「学力重視で行くか、あるいはAO推薦の道を選ぶか」を中学生の段階から考えて欲しいと思っています。子どもの特性を見極めた進路選択は、ますます重要性が高まると考えています。
公立高校のMARCH合格状況
校名後の( )内の数値は、その高校から何人に1人がMARCHに合格したかを示す。例えば、県立千葉の場合、卒業生の1.5人に1人がMARCHに合格。
合格者は一般入試のみ。AO・推薦は含まず。
偏差値 | 千葉県立高校 | 都立高校 | |||
第一学区 | 第二学区 | 第三学区 | 旧第一.四学区 | 旧五.六学区 | |
69 | 県立千葉(1.5) | ||||
68 | |||||
67 | 県立船橋(1.1) | 東葛飾(1.2) | |||
66 | 千葉東(1.2) | 日比谷(1.5) | |||
65 | |||||
64 | 小石川(2.1) | ||||
63 | 薬園台(1.9) | 両国(1.2) | |||
62 | 市立千葉(1.8) | 県立柏(1.8) | |||
61 | 小金(2.2) | 小山台(1.5) | |||
60 | 市立稲毛(2.5) | 船橋東(1.5)八千代(2.1) | 竹早(1.7) | ||
59 | 千葉女子(18.7) | 小松川(2.8) | |||
58 | 鎌ヶ谷(5.7)柏南(5.5) | 白鴎(3.1) | |||
57 | 幕張総合(3.9) | 国府台(5.8) | 三田(3.8) | 城東(3.2) | |
56 | 千葉西(6.2)千葉南(6.8) | 北園(5.5) | 上野(11) | ||
55 | 検見川(17.8) | 松戸国際(14.0)津田沼(15.6) | 柏中央(11.7) | 墨田川(11) | |
54 | 国分(13.3) | 文京(7.0) 雪谷(14) | 晴海総合(11) | ||
53 | 磯辺(45.7) | 我孫子(12.2) | 豊島(10)田園調布(40)飛鳥(15) | 江戸川(23)深川(12) | |
52 | 千葉北(28.0)土気(106.7) | 市川東(35.0)習志野(40.0) 船橋西(17.1) |
向丘(40)高島(56) | 江北(14)東(120) | |
51 | 千城台(53.3) | 松戸六実(70.0) | 大崎(27) | ||
50 | 若松(35.0) | ||||
49 | 船橋芝山(34.3) | 柏凌(120.0) | つばさ総合(120) | 小岩(70)足立(280) | |
48 | 八千代東(120.0) | 流山中央(11.8) | 本所(34)足立西(48) | ||
47 | 船橋旭(240.0) | 板橋(120) | 葛飾野(70) | ||
46 | 市立船橋(240.0) | 千早(210) | 淵江(80) | ||
45 | 練馬(240) | 南葛飾(80) | |||
44 | 市川北(50.0) | ||||
43 | 船橋二和(240.0) |
※安田教育研究所から提供いただいた資料を伸栄学習会にて加工しました。
※偏差値は入学時(H17年度)の進学研究会の数値。