2011年6月号……『ISO29990の認証』 塾長/青沼 隆
伸栄学習会は去る5月9日、ISO29990の認証を取得しました。学習塾及び教育研修事業者としては国内初の認証取得となります。ISOという文字は、ふだんの生活の中で目にすることはあまりありませんが、工場や倉庫などでは、よく、ISO9001とかISO14001などのプレートが掲げられています。
ISOとはInternational Organization for Standardizationの略で、日本語では「国際標準化機構」と訳されています。一口で言えば、製品の品質を国際的に保証するものです。例えば、ネジはさまざまな機械に使われます。もし、このネジに狂いがあったら、これを使う機械が使い物にならなくなります。これを防ぐために、1つの企業、あるいは1つの国を越えて、世界中どこでも規格にあったネジを作ろうとするのがISOの目的です。
ISO29990は、ドイツなどヨーロッパ諸国が中心になって作られた新しい規格です。教育事業者を対象とした規格で、「授業の質」など教育サービスの内容を保証するものです。これから日本でも、大手学習塾などが取得に向かうだろうと言われています。
よく「よい塾」とか「悪い塾」という表現が使われます。「よい先生」「悪い先生」という言葉もあります。すべての塾は、自分の塾を「よい塾」だと思っています。先生も同様で、自分を「悪い先生」と思っている人はいません、ただし、その場合、「良い」「悪い」に客観的な評価は下されていません。多くの場合、自分の思い込みに過ぎません。場合によっては勝手な自己過信かもしれません。ISOはこの思い込みに対して、客観的な評価、それも国際的に通用する評価を下すものです。
実はISO29990の認証の過程で、伸栄学習会も問題点がいくつかがあぶり出されました。営業の稚拙さがその1つです。「よい授業を継続するためには、よい授業をしているだけでは不足。営業がしっかりしていなければならない。塾がつぶれてしまっては、授業の継続そのものができなくなる。」というのがその指摘でした。
従って、伸栄学習会は万全な塾ではありません。ただ、それはそれとして、ISO29990認証によって、授業の質は客観的に証明されました。また、同時に、今だけではなく、将来にわたって、授業の質が確保され改善されることも認められました。
これらは「当たり前」と言えば、当たり前のことです。大切なお子さまをお預かりしている以上、塾がよい授業を行うのは当然のことです。ご両親さまも、お子さまによい教育が施されるのは、「当たり前」とお考えになっているに違いありません。ただ、塾として、その当たり前を内外に表明して、責任の所在を明らかにするのは意味のあることと思っています。
中国の古典に“教學半(キョウガクナカバ)”という言葉があります。「教えるということは即ち学ぶこと」という意味です。これに従えば、良き教師であるためには良き生徒でなければならない、つまり教師である限り、教師は喜びをもって学び続けなければなりません。ISO認証を契機に、改めて、この意味をかみしめたいと思います。