2002年7月号……『30/52≒0.58』 塾長/青沼 隆
夏休みが近づきました。楽しいプランをお考えの方もいらっしゃるかと思います。水を差すようで恐縮ですが、先日、当塾から夏期講習の案内書をお送りさせていただきました。子どもの中には、「せっかくの夏休みなのに………」と思っている人もいるでしょう。そこで、この機会に、学校の授業についてちょっと考えてみたいと思います。
学校は1年中授業を行っているわけではありません。当然ですが、夏休み・冬休み・春休みは授業がありません。祝日、定期テスト、運動会、遠足、文化祭などの日も授業がありません。これらを除きますと、学校が授業を行えるのは、1年間で32~33週程度になります。更に、学校によっていろいろですが、運動会の予行演習や諸行事などでも授業が削減されます。これらを総合すると、学校は年間で30週程度しか授業を行っていない計算になります。教科書もこれを前提に編集されていて、年間30週の授業ですべての単元が終了するように編集されています。1年(365日)は約52週です。従って、このうち30週、割合にして約58%が学校で通常の授業が行っている日となります。言い換えますと、22週(年間の42%)は授業がないことになります。これは、昔の旧カリキュラムでも、この4月からの新カリキュラムでも変わりありません。新カリキュラムでは教科内容が30%削減されましたが、教科内容の削減と、52週に対する30週の授業実施の割合とは別のものです。
さて、この58%をどう考えるかです。学校の授業のない年間の42%のとき(例えば夏休みなど)は、スポーツや芸術などに取り組むので、勉強は必要ないという考え方もあろうかと思います。あるいは、この42%の半分くらいは勉強が必要という判断もあるかと思います。ご家庭の方針によって違うのが当然だと思います。ただ、残念なことに、いろいろな調査結果を集約しますと、多くの子どもたちが特に目的もなく、テレビやゲームなどで時間を消費しているのも事実です。これだけは避けたいとお考えのご両親さま方も多いかと思います。
私は、最近、学習を「早く」進めることをお勧めしています。特に、算数や英語は学年のワクに縛られないで進めた方が良いと考えています。そして、ご両親さま方に、「1年間で、学校の2年分を進めたらどうでしょうか」ということも提案させていただいております。その際に、よく「そんなに詰め込んでも大丈夫でしょうか」と質問されますが、その時にお答えするのが、この“30/52”の数値です。要するに、学校の勉強が止まっている42%のときに、いつもと同じように進めれば学校のほぼ2倍を進められるということです。“1週間で2週間分をたたき込もう”というのではなく、学校が休んでいるときも“いつもと同じように進めましょう”という提案です。
もちろん、子どもの勉強について30週分で十分だとお考えになるのも、あるいは45週分くらいが妥当とお考えになるのも正しい判断だと思います。ただ、少なくとも、学校の進度だけが無条件に唯一絶対に正しいと考えるのはどうかと思います。「30/52」という数値に絶対的な合理性はありません。また、その中に織り込まれている学習内容(例えば、円周率を3にしたり、小中学校から不等式を削減したこと)にも絶対性はありません。やはり、子どもの学習はご両親さまがお決めになるのが正しいことだと考えます。そして、私ども塾の役割は、そのご判断のお手伝いをさせていただくことにあると考えます。