2007年1月号……『高校入試制度がまた変わる』 塾長/青沼 隆
平成20年度の入試(現在の中2生)から、また、高校入試制度が大きく変わります。今年の入試(現在の中3生)では、千葉県の私立高校の入試制度が変わりました。従来、推薦入試と一般入試と呼んでいたのを、それぞれ前期入試と後期入試と名前を変え、前期入試で定員の過半数の入学者が決まるようになりました(従来は最大50%しか取れませんでした)。
この結果、多くの受験生は前期試験にシフトして、その結果、入試スケジュールが実質的に2週間くらい早まりました。また、私立のスケジュールが前倒しされた結果、県立高校の応募者が私立に食われる可能性も出ました。現時点では、まだ、受験生がどのように動くのか確定していませんが、県立高校の先生の中には受験者の減少を心配している方もいます。
さて、来年(現中2)の入試では、県立高校の制度が大幅に変わります。具体的には、「内申書」の取り扱いが変わります。県立高校の入試では、特色化選抜も一般入試も、入試得点に加えて内申書の得点が加算されて合否が決まります。しかし、内申書は絶対評価でつけられます。絶対評価は相対評価のように、5が何パーセント、4が何パーセントという割合が決められていません。ですから、ある中学では点数が甘くつけられ、ある中学では点数が辛くつけられるという不公平が生じています。
今回の変更では、この甘い辛いが是正されることになりました。具体的には、各中学に教科別の平均点を参考に、甘い中学については、その甘い分だけを本人の内申点から減額するというものです。
これまでの県立入試では、中学でつける点数の甘い辛いにかかわらずに、一律同じ基準で評価されてきました。これが、上記の通り変わりますので、相当の混乱が予想されます。
これまでも、多くの県立高校の先生は、内申書の不公を問題視してきました。甘い中学からはたくさんの合格者が出る反面、辛い中学からは合格者が出づらいこと、それに内申点と学力は、必ずしも一致していないことが共通認識となってきたからです。
確かに、浦安市内だけを見ても、日の出中の平均点が4強、一方、堀江中の平均点が3強とアンバランスが生じていました。これはどう考えても公平とはいえません。その意味では、歓迎すべき制度変更といえます。
ただ、ある県立高校の先生は、「甘い評価をつけてきた中学からは、県立船橋高校などのトップ校には合格しづらくなるのではないか」と漏らしていました。極端すぎる意見かもしれませんが、ひょっとするとその通りになるかもしれません。
この変更は昨年の10月から審議され12月に決定に至りました。まだ、マスコミなどには大きく取り上げられていません。中学校の中でも、あまり話題になっていないようです。しかし、現中2生にとっては大きな変更です。志望校の選定にあたってはご注意下さるようお願いします。
※ 来る2月24日(土)に「高校入試制度説明会」を開催します。その際にもっと詳しいお話しをいたします。