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2006年9月号……『進路の選択』 塾長/青沼 隆

夏休みも終わり、受験生にとってはいよいよ志望校の選択の時期が迫ってきました。志望校の選択については、「中学受験までは親が、高校受験以降は子どもが」というのが定説になっています。実際のところ、中学3年生を持つご両親様は、「高校選びは子どもがするのが当然」と受け止めておられるケースが多いように感じます。

このことは私立学校の生徒募集にもよく表れて、その結果、多くの私立は、中学生の募集と高校生の募集ではPRの仕方をガラリと変えています。

中学入試の説明会では、親向けを意識して、子どもの将来のこと、その学校の教育理念や教育内容を中心にした“堅い話”がされます。一方、高校入試では、子どもを意識して、その学校に進学すればいかに楽しい3年間が過ごせるかを、“楽しい雰囲気”でイベントも交えてPRされます。ずいぶん前から、多くの高校では(最近では私立のみならず県立も)、「明るく、楽しく、元気よく」が強く意識されてきています。

保護者の方は、自分自身が子ども時代を過ごして大人になっています。ですから、中学高校時代に何をすべきかということを経験の中で客観的に知っています。この時期の過ごし方如何で、人生の方向が変わってしまうことも熟知した上で、子どもの教育を考えます。一方、子どもの意識は全く違います。将来のことは経験したこともありません。大人になったときに、それがどのような意味を持つかも実感としてつかむこともできません。ですから、多くの子どもは、その時間を将来への投資(勉強など)に費やすことよりも、いかに楽しく過ごすことを求めます。

こんな背景もあって、中学入試も高校入試も両方とも生徒募集が上手くいっている学校はないといわれます。それは、中学生の募集が上手くいっている学校では、堅いイメージが浸透して、高校生の募集が上手くいかず、反対に、高校生の募集が上手くいっている学校では、軽いイメージが浸透して保護者に敬遠されるからです。同じ学校の中で、正反対のイメージを作り出すことは至難の業で、私立はそのためにとても苦労しているようです。

親と子は確執は、学校選択の場面だけではなくあらゆる局面でが生じます。多くの場合、親の良かれと思ったことは子どもに受け入れられません。ですから、進路の選択もその1つと考えれば、それはそれで当然なのかもしれません。しかし、高校3年間は子どもにとって、とても大切な時期です。その高校選択に当たって、子ども中心になってしまっていることに疑問に感じることがよくあります。

親としても、「今の高校のことがよくわからない」「自分の意見を押しつけて、もし子どもが不適合してしまったら責任の取りようがない」という戸惑いのあることはよく理解できます。しかし、子どもは、親以上に情報を持っていません。子どもが持っている情報とは、多くの場合、「先輩が通っている」「部活が盛ん」「説明会や文化祭にに行ったときに良い印象を受けた」「偏差値が合っている」、それに、制服がかわいい、校舎がキレイだ、××コースが設置されている……というのが精々で、その高校の本当の教育内容などはほとんど知っていません。むしろ、そんなことには関心を持ちようがない、というのが正直なところだと思います。

東京や千葉出身の方を除けば、名前すら耳にしたことがない高校が並んでいるのが多くの方の印象だと思います。それに、高校入試制度が複雑化している中で、わが子にとって適切な高校を、どんな基準で選んでよいかお悩みの方も多いと思います。しかし、「百聞は一見に如かず」です。是非、時間を見つけていろいろな高校の先生のお話をお聞き下さい。そして、その上で、お子さまと一緒になって高校選びをしていただけたらと感じています。

付記:
当学習会では進学先の情報をどこよりも豊富にもっていると自負しております。学校選択に当たってはいつでもご相談に応じますので申し添えます。

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