2012年2月号……『英文法』 塾長/青沼 隆
学習指導要領が改訂されこの春から英語の教科書も一新されます。学習指導要領とは、文部科学省が小中高の各学校の指導内容について定めたもので、およそ10年ごとに改訂されます。この春からは大改訂されて、いわゆる「ゆとり教育」に終止符が付されます。
英語の教科書も同様で、新しい教科書は従来の教科書とくらべて格段にページ数が多くなります。従来の教科書が、ほとんど「会話調」であったのに対して、新しい教書には「論文調」の文章も取り入れられています。もちろん、単語量もも増えています。
従来の教科書は会話調が主体であったため、主語や動詞が省略された文が多く、文法を学ぶのに甚だ不適でした。学校の授業でも文法が軽視されたため、中3になっても「三単現」のわからない生徒がたくさんいました。新しい教科書になって指導方法も変わり、改善につながるのではないかと期待しています。
ただ、世間では「文法」の評判はよくないようです。マスコミなどには、「日本の英語教育は間違っている。文法ばかり教えるから会話力がつかない。実践的な英語力がうかない」という論調が目立ちます。ただ、塾の視点から見ますと、会話力とか実践力という話以前に、英語が全然わからないまま中学・高校を卒業している生徒が量産されていることに危機感を抱いています。これらの多くの生徒は、将来、英語を勉強しようと思ってもその土台すら築かれていないように思えます。
英語の学習においては文法は極めて重要というのが私の見解です。とりわけ中学で学ぶ英文法は大切です。一般的に、日本の高校入試に出題される英文は、アメリカの教科書の小学校低学年レベル、大学入試に出題される英文は高校レベルと言われます。つまり、日本の子どもは中3から高3までの3年間で、アメリカ人の小学低学年から高校レベル、つまりこの間の6年間分を学ぶという計算になります。
高校入学後に英語がわからなくなる子どもがたくさんいますが、1つの理由はここにあります。中学までの英語と、高校とりわけ大学入試の英語には大きな乖離があるわけです。
また、大学受験で最も大切なのはやはり文法力です。大学入試では文法問題はあまり出題されません。得点の大半は「長文問題」で占められます。このため、長文さえできれば大学入試をクリアできると短絡的に考えている子どもも多数います。もっともらしいのですが、これも経験的には、文法の不得手な子どもはやはり長文でも限界がすぐに来ます。高校生の指導においてはやはり文法が重要です。
例えば、模擬試験結果では文法の成績がやはり大切です。文法部分の配点は多くありません。でも、文法の成績がその子の今後の伸びを占う重大な指標になるからです。そして、高校の英文法が苦手にしている子どもは、ほぼ例外なく、中学文法に穴があります。
英語の学習では文法、とりわけ中学の文法が大切です。伸栄学習会ではこれまでも文法重視の指導を進めてきましたが、学習指導要領が一新されるこの機会に、さらに文法重視の指導を進める所存です。