2005年6月号……『私立中学への幻想』 塾長/青沼 隆
「○○中学に入学すれば、行く末は早稲田・慶應、東大合格も十分可能」こんなイメージで中学受験を考えている人も多いのではないかと思います。確かに、毎年春に出版される週刊誌には、東大合格者の出身校として有名私立校の名前がズラリと並びます。“○○中学に入学すれば将来は安心”というイメージを持つ保護者が多いのも当然かと思います。でも、果たしてそれは本当でしょうか。
私立に通う子どもの中にも、成績優秀者もいれば成績不振者もいます。成績優秀な子どもが有名大学に進学できるのは当然です。ただし、その私立の中にも、優秀でない普通の子どももたくさんいます。週刊誌の特集やあるいは私立中学の学校説明会では、必ずといってよいほど、成績優秀者にスポットが当てられて“輝かしい”実績が披露されます。しかし、それらの私立に通う成績中位の子どもはどうなのでしょうか。
以上のような問題意識から安田教育研究所が、つい最近とても興味深いレポートを発表しました。これは、各私立中高一貫に通う「中間層の子ども」が実際にどの大学に合格したのかを調査したのもです。
よく、私立の広告を見ていると、「全員が国公立・早慶上智大へ」などが並びますが、この表を見れば、明らかに言いすぎであることがわかります。少なくても、千葉の私立では、東大や早慶上智に自動的に進学できるところはありません。最もレベルの高いといわれる、渋谷幕張、市川、東邦大東邦でも、早稲田-東京電機大学という組み合わせになっています。千葉を代表する3校が同じ結果になったのは偶然とはいえ面白い結果ですが、トップの中学に進学しても、普通に勉強していたのでは東大には届きません。
ちなみに東京電機大学の入試偏差値は50程度です。また、同大学の附属高校へは、中3時点で5教科19(オール4にマイナス1)で進学できます。中学の成績が絶対評価になって甘くなっている中、この成績は全体の中くらい、あるいは少し上という水準です。渋谷幕張、市川、東邦大東邦の各高校の入試偏差値は70程度で、その差は計り知れないほど大きなものがあります。
渋谷幕張、市川、東邦大東邦といえば相当ハイレベルです。しかし、それでも、有名大学に進学にできない子どもがたくさんいます。もし、この子どもたちが、中学受験をしないで公立中学に進学したらどうなるでしょう。当学習会では、先取り学習を進めています。これのレベルの子どもたちなら、高1の段階で全カリキュラムが終わります。そうすれば、2年間大学受験の勉強に没頭でき、その大半が有名大学に進学できます。
私立中受験はある意味では遠回りかもしれません。