2004年1月号……『特色化選抜の合否実態』 塾長/青沼 隆
県立高校の特色化選抜は今年で2年目を迎えます。昨年、第1回目の試験は、高校側も受験者側もそれぞれ手探り状態で行われました。しかし、2年目を迎える今年も、必ずしも入試の実態や合否判定方法などの情報が受験者に伝達されていません。県立高校の入試はこれまでは中学が主導権を握って進路指導を行ってきましたが、さまざまな理由で進路指導ができなくなってきているようです。ある県立高校の先生は、「特色化選抜になって各高校が異なった選抜をするようになった結果、中学がこれらの複雑な情報に対応できなくなった」と仰っていました。そのためか、今年は多くの県立高校が生徒・保護者への広報に力を入れるようになりました。
以下、多くの方が案外お気づきではない(と思われる)特色化選抜の実態について箇条書きで記します。
●特色化選抜は一般入試より合格が厳しい
多くの県立高校は定員の50%を特色化で、残り50%を一般入試で取ります。従って、最初に行われる特色化選抜で成績上位者を取り、一般入試ではこれに漏れた残りの生徒を取ります。ですから、同じ高校であっても、特色化選抜は一般入試より成績上位者が合格します。合否判定基準が異なるので数値化するのは困難ですが、偏差値で4~5ポイント程度特色化の方が合格が難しいと思います。一方で、“特色化で冒険入試をして、ダメだったらレベルを下げて一般入試を”と考えている人が多いようです。この考え方は心情的には理解できるのですが、もともと同じ高校でも、レベルの高い特色化で冒険したら結果はだいたい見えてきます。むしろ、特色化こそ“安全な入試”をした方が結果が得やすいかと思います。
●合否は、3年間の成績+調査書の記載内容の加点+入試結果で決まる。
それぞれの高校によって合否方法が異なっていますが、多くの方が自分の受験する高校の合否判定方法を知らないようです。これらは、千葉公文書図書館の資料でだけ知ることができます(当学習会にそのCOPYがあります)。上記のうち、3年間の成績(9教科×5点×3年間=135点)はどの高校も同じ扱いです。ただし、調査書の記載内容による加点は各高校で異なります。3年間の皆勤、生徒会役員、部活の実績、英検・漢検、ボランティア活動などは多くの高校で共通しますが、その他(クラスの委員、各種表彰、学校行事への取り組み等々)は高校によって取り扱いが異なります。いずれにしても重要なことはこれらの内容が、調査書に記載されなければ加点の対象にならないことです。ですから、生徒は自分の中学3年間の活動を先生に正しく知ってもらう努力が必要です。そして、この努力をしている人はほとんどいないのが実態かと思います。また、志願理由書も書き方のルールがありますが、これもまったく徹底されていません。中3対象の三者面談に是非ご出席下さい。
●特色化の入試の中身
特色化の入試は大きく分けて次の3通りです。1つ目は独自問題を実施する高校です。これらの高校は得点を点数化して、調査書の点数と合計して合否を判定します。これらの高校の場合、調査書のハンディを十分克服することができます。2つ目は作文・面接の高校です。採点方法の詳細は一切公表されていません。しかし、これまで多くの高校から聴取したところによりますと、だいたい90%以上の生徒に「B」評価をつけているようです。件数は極めて少ないようですが、どうしようもない生徒には「C」を付け、数パーセントの生徒に「A」を付けるようです。要は、ほとんどの生徒は入試では差がつかず、調査書の点数で合否が決まっている、言葉を換えれば願書出願時点で合否が決まっている、と言えます。ただし、作文や面接が極めて優れていて「A」が取れれば、相当な加点(5点とか10点あるいはそれ以上)が期待できます。ですから、作文・面接対策の要領は“平凡なことをしても意味がない”ということです。この冬期講習で作文対策と面接対策を行いましたのも上記の理由からです。受講した生徒には平凡な対策ではなく“キラリと光るもの”を指導しました。3つ目は小論文・自己PRなどです。これらは、作文・面接以上に細かに採点されるケースが多いようです。ただし、独自問題ほどのウエイトがあるケースはあまりないようです。