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2006年12月号……『有名大学に進学する2つのルート』 塾長/青沼 隆

10年前まで、大学進学に至るルートは基本的には1つしかありませんでした。それは何かというと「一般試験」です。国語や英語などの「ペーパーテスト」で、お馴染みの入試です。最近、私立大学でも次々に導入している「センター試験」もこの一種です。

ところが、ここ数年、「AO入試」や「推薦入試」を導入する大学が激増して、その結果、私立大学では入学者の半数がこの入学しています。国公立大学も東大と京大を除けば、ほぼどの大学もこの入試を取り入れています。

しかし、これだけ多くの学生がAO入試や推薦入試で入学しているにもかかわらず、未だに、高校の現場(特に偏差値の高い高校)では、大学入試といえば「一般入試」が当たり前という指導がされています。制度が複雑ということもあり、保護者の方も精通されている方はごく少数のようです。(推薦入試には「指定校推薦」も含まれますが、一応ここでは「一般推薦」に限って話を進めます)

AO入試や推薦入試とは、一言で表現すれば、「面接や小論文」で選考される入試で、「ペーパーテスト」は課せられません。もちろん、大学や学部によって内容がさまざまで、基礎的な学科試験を課すところもあります。ただ、概ね、一般試験では「学力」、AO・推薦入試では「表現力」(コミュニケーション力)で選考されるという理解で間違いありません。

もう1点、AO・推薦入試で重要なことがあります。それは、受験資格として高校3年間の評定(学校の成績)の縛りがあるということです。大学や学部によって違いますが、国公立大学や早慶上智あたりでは5点満点で4.0~4.3、MARCHクラスだと3.5~4.0程度となっています。この評定はどの高校も平等に扱われることになっています。即ち、偏差値の高い高校も低い高校も同等に評価されるということです。

ですから、AO・推薦入試では「偏差値の低い高校の方が有利」です。レベルの高い高校でこの成績を取るのは至難の業だからです。ここに高校選択の「戦略」が生じるわけです。高校入試だけではなく中学入試も同様です。端的に言えば、中学入試で高い偏差値の学校を選ぶということは、大学入試で「一般入試を選択した」ことにつながるからです。

大学入試で「一般入試」を選ぶか「AO・推薦入試」を選ぶかということは、子供の年令が低ければ実感も湧かず、判断もつきづらいと思います。ただ、現実の大学入試において、「AO・推薦入試」の割合がこれほど高くなっているのに、中学・高校選びでは、ほとんどこのことが考慮されていないというのが不思議な気がします。

しかし、多くの人が気づいていないことは、逆に、大きなチャンスとも言えます。「人の行く裏に道あり花の山」のたとえもあります。「戦略的な学校選び」によって、子どもの進路の可能性を広げることも可能です。ご質問などありましたらいつでもご相談にのります。ご連絡下さい。

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