2013年12月号……『時代の変化』 塾長/青沼 隆
2011年8月に発行された『ニューヨーク・タイムズ』に、米国デューク大学のキャシー・デビッドソン教授による次のような予測が掲載されました。
2011年、小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう
小学1年生が大学を卒業するまでの年数は16年。この間に生まれた新しい職業に、子どもたちの65%(つまり約3分の2)が就くだろうというものです。
時間の流れはますます加速しています。1990年の終わりごろに「ドッグ・イヤー」という言葉が生まれました。成長の早い犬の1年は人間の7年に相当することから、技術革新など変化の激しいことのたとえとして使われ始めました。古い時代の1年は今の7年、つまり、ドッグ・イヤーに従えば、小学生が大学を卒業するまでの16年は昔の約100年に相当します。
100年といえば、新しい職業がたくさん生まれ、同時にたくさんの職業が消滅するに十分な時間と言えます。思い起こせば、働き方を巡っても、かつてはフリーターや派遣労働などの問題は今ほど騒がれていませんでした。これからも、現時点では考えられない変化が起こり、就業構造も大きく変わっていくことと思います。
今、塾で学んでいる子どもたちもやがて社会に巣立っていきます。そのとき、社会は予想できない姿に変わっている可能性があります。この子たちも、新しい社会の中で生き抜いていかなければなりません。価値観、倫理観、能力の尺度などまで変化しているかもしれません。最終責任を負うのはあくまでも本人。しかし、だからといって周囲の大人たちが、子どもの将来に無責任であって良いわけではありません。もちろん、私たち塾の講師にとっても同様です。
グローバル化、環境問題、科学技術の進展………未来社会はこんな風に変わっていくと言われています。こんな社会をより良く生きるために、国際感覚、外国語、日本固有の文化、理数教育、芸術、スポーツ等などさまざまな教育テーマがあげられています。
一方、塾は成績を上げること、目標校に合格させることが期待されています。もちろん、これらは私たちにとって重要な課題です。子どもと一緒になって、成績に一喜一憂しているのも事実です。ただ、それだけに留まらず、しっかりと10年先、15年先を見据えて教育することはもっと大切なことと念じています。ご家庭と連携して、子どもがよりよい人生、より納得できる人生を送れるよう提言させていただけたらと考えます。