2006年8月号……「明治大学合格者に見る大学入試の厳しい現状」 塾長/青沼 隆
つい最近、安田教育研究所がとても興味深い資料を出しました。それは、高校別に見た明治大学の合格状況で、恐らく、世間一般で持たれているイメージとはずいぶん異なった結果になっているのではないかと思います。
明治大学は「MARCH」※注 の一角で、入試の偏差値レベルでは、早稲田・慶應・上智に次ぐ2番手の私立大学と位置づけられています。中堅高校に通う高校生にとっては「あこがれの大学」であり、トップ高校に通う高校生にとっては「すべり止めの大学」というのが一般のイメージではないかと思います。
しかし、表を見て驚くことに、明治大学の合格率(合格者÷受験者)が50%以上に達している高校は1校もありません。ですから、どんなレベルの中学・高校に通っていても、明治大学に合格することは、生やさしいことではないことが読み取れます。
偏差値の高い中学や高校の説明会では、よく、「ウチの生徒は国公立、もしくは、早慶上智が目標。それ以下の大学は眼中にない」という話が聞かされます。ただし、その学校の上位層の生徒を別にすれば、実態はだいぶ違うことに気付かされます。
ゆとり教育が導入されて以来、中学受験が一層過熱しています。そのような中、中学受験する保護者たちは、「私立の中高一貫校に進学すればMARCHクラスには進学できる」といった幻想を抱いているようです。中学や高校は「影」の部分は語りたがりません。しかし、優秀な集団であっても、落ちこぼれる「リスク」もあること、そしてその場合のシビアな結果についても理解をしておくことが必要だと思います。
また、中堅校に通う生徒にとっては、MARCHクラスの大学はまだまだ高嶺の花です。ただし、大学入試が多様化している中、多くの大学ではAO入試や推薦入試を取り入れてきています。このような入試は、学力で選抜する一般入試とは異なった基準で入学者を選抜します。
一昔前までのように、「少しでも高い偏差値の中学や高校に進学することが、将来の大学入試を保証する」という時代は既に終わっています。中学や高校の進学先の選定に当たっては、大学入試も含めたトータルな判断がとても大切になりました。
進学先の選び方などでお困りでしたらいつでもご相談に乗ります。ご遠慮なくお電話下さい。
<注>
MARCHとは………
明治・青山・立教・中央・法政の各大学の頭文字を取った中堅上位大学の総称。
私立大学の偏差値ランキングでは、「早慶上智」と「日東駒専」(日大・東洋大・駒澤大・専修大)の中間に位置する。
安田教育研究所様からは、当学習会の保護者のみに対して、「高校別の明治大学合格資料」の公開をお許しいただきました。
ついては、このURLでの公表は差し控えさせていただきますのでご了承下さい。