2014年7月号……『小学生英語』 塾長/青沼 隆
小学生に対する英語教育のニーズは年々高まりつつあります。現在、大半の塾では小学生に対して算数や国語と並行して英語の授業を行っています。伸栄学習会も例外ではありません。小学生の受講科目のトップは算数ですが、速読速聴と並んで英語が第二位となっています。
伸栄学習会の英語の授業は「英検合格」を目標に、中学の英語を先取りする形で進めています。その意味では、英会話などの英語専門教室とは内容を異にしています。英会話教室の英語は、外国語や外国人、そして異文化に慣れ、親しみを感じることを目的にしています。ですから、歌やダンスなどのお遊び的要素を取り入れた指導が中心になります。お遊び英語は必ずしも否定されるものではありません。しかし、伸栄学習会では、中学・高校・大学へと進める英語の力を育てることを第一の目的として、どちらかといえば「くそ真面目」な授業を進めています。
伸栄学習会の英語指導方法は長年の研究や経験を踏まえたものです。従って、英語指導には自負を持っており、これを今すぐ変えていく必然性は特に感じていません。
ただし、時代の流れは予想をはるかに超えて速く進んでいます。
その1つがいわゆるグローバル化の進展です。国家や地域の境界が曖昧になり、地球が小さくなり、その中で英語の重要性がますます高まっています。英語教育の目標をどのように設定するかさまざまな見解がありますが、コミュニケーション力の育成は避けることが出来なくなりつつあります。これまでの、どちらかといえば、「読む・書く」中心の英語は否定される方向にあります。
文科省も経済界からの強い要請を受けて、英語教育を抜本的に変える方向にあります。そのひとつが、小学生英語の教科化です。2020年(オリンピックイヤー)に学習指導要領を全面的に改定して、小学5年生から週3時間程度の英語を正式教科として取り入れる方針です。これは、現在、小学校で行われているお遊び英語とは根本的に内容が異なるもので、中学3年分の中にあるかなりの内容が指導されます。また、「読む・書く」だけではなく、「聞く・話す」も取り入れられます。
つまり文科省は、「読む・書く・聞く・話す」のすべての要素を取り入れた、かなりレベルの高い英語教育を目指していると言えます。この視点で、現在のわが国の英語教育を見直しますと、驚くべき事実が判明します。ある調査によると、このレベルの英語教育を行っている塾や英会話教室などは「皆無」とのことです。英語教育を行っている民間教育機関は星の数ほどありますが、コミュニケーションを中心に行っているところ(英会話教室など)はレベルが低く、従来型の文法・読解を中心に行っているところ(学習塾など)はコミュニケーション力の育成が不十分とのことでした。ちなみに、伸栄学習会は後者に属します。
私の友人で海外経験が長い人や海外との取引を活発に行っている人と話をすると、ほぼ例外なく、日本人の英語力の弱さを指摘します。同じような感想をお持ちの保護者の方も多いのではないと拝察します。「日本の英語教育は間違っている」という俗説に賛同したくはありません。ただ、グローバル化の進展の中で、現在の英語教育が取り残されているのも、残念ながら事実です。
この現実を踏まえ、現在、伸栄学習会では新しい英語の教育のあり方について研究を進めています。かなりレベルの高い実践的な英語、グローバル時代に適合した英語を目指しています。それには、教材の開発や講師の育成などには相当のエネルギーやコストが必要です。従って、とても伸栄学習会だけでは力が及びません。関係機関や他塾と共同で開発しているところです。具体的な形が見えてきましたら、改めてご報告させていただく所存です。