2013年6月号……『夏の勉強』 塾長/青沼 隆
伸栄学習会では理科・社会を受講している生徒は多くはありません。これは伸栄学習会だけに限らず、個別指導塾の場合、同じような現象となっているようです。多くの中学生にとって最も学習のネックとなるのは英語か数学です。ですから生徒の多くは、英語か数学、もしくはその両方を受講しています。そして国語がその次に来て、理科・社会にはなかなか手が回らないというのが一般的のようです。
確かに理科と社会は「積み重ね」の教科ではありません。数学や英語はどこかでわからなくなってしまうと、もうその先の内容を積み重ねることはできなくなります。従って、わからなくなってしまった場合、その修復にかなりの時間を要します。しかし、理科・社会の場合は原則的には各単元で独立しているため、仮にある単元がわからなくなっても、次の単元に進めばリセットされ尾を引くということはありません。
生徒が塾に通える日数は限られています。ですから、教科の選択についてご相談があった場合、私たち塾の講師も、理科・社会を後回しするようにお答えしているのが実情です。
ただ、もちろん、言うまでもなく理科も社会も県立高校の入試科目です。また、私立高校志望者にとっても欠くことのできない教科です。よく、私立高校の入試科目は3教科(国数英)だから理社は不要と考えている人もいますが、これは大きな間違いです。私立高校の入試では、推薦入試が大きな比重を占めていて、この推薦入試では学校の通知表(中3の2学期の成績)で実質的に合否が決まります。ほとんどの私立高校は5教科の成績を要求しますので、私立といえども理社は実質的な入試科目に含まれています。
さて、この理科・社会ですが、一昔前の「ゆとりカリキュラム」時代と異なり、内容が広くそして深くなりました。特に理科については、1分野も2分野も計算や論理展開を求められる内容が増えました。この結果、数学が苦手、あるいは読解力の乏しい生徒にとってはハードルの高い教科になりました。塾の教室でも「理科や社会がサッパリわからない」という中学生の声もよく聞ききます。
この理科・社会ですが、先ほども述べましたとおり、ふだん塾で受講するのは難しいと思います。ただ、夏休みは別です。とりわけ中学3年生にとっては、じっくり腰を落ち着けて理科・社会の勉強をする機会はこの夏が最後になるだろうと思います。冬休みは入試の追い込みの時期で、少なくても復習をする時間があまりありません。さらに、2学期の定期試験は私立入試にとって特別な意味(私立入試の肩代わり)を持ちます。ですから、この夏に、これまでの苦手単元の復習と2学期の先取り(つまり定期試験対策)をすることは、高校入試に勝つために大きな意味を持ちます。
夏休みは絶好のチャンスです。ふだん手の回らない理科・社会に目を開いていただけたらと考えます。