2017年2月号……『受験の終わる中学3年生へ』 塾長/青沼 隆
いよいよ2月13日より千葉県公立高校の前期選抜が始まります。今まで、あまり受験に対してピンときていなかった中学3年生も、さすがに、この時期は気持ちの高ぶりを感じているようです。毎年感じるのは、この緊張感を1年前から持って欲しかった、ということです。やはり、人間は誰しも、せっぱ詰まらないと行動に移せない生き物なのでしょう。
ただ、同じ過ちを何度も繰り返すのは愚かなことです。今のせっぱ詰まった気持ち、その中には反省も含まれているのではないかと思いますが、その感覚を大切にして欲しいと思っています。
高校入試が自分の思った結果になるかどうかは別にして、4月になると高校生になります。中学と高校は似ているようでかなり大きな違いがあります。制度的には、中学までは義務教育ですが、高校からは任意教育になります。従って、高校は留年もありますし、退学もあります。でも、そんなことよりもっと大きな違いは、高校は学力に応じて「輪切り」がされていることです。
一般の公立中学は入学試験がありません。ですから、誰でも、原則としてその地域の子どもたちは指定された中学に進学します。その結果、「できる子」も「できない子」も同じ中学で学びます。偏差値でいうなら、平均値50を中心にして、25から75まで成績の分布が広がっています。ですから、例えば、偏差値50の子どもが学年のトップになるのは簡単なことではありません。同様に、偏差値50の子どもがビリになることもほとんどありません。
しかし、高校は違います。入学時点で同じレベルの子どもが集められています。偏差値でいうなら上下の差は10くらいしかありません。ですから、ちょっとした努力で学年のトップになれますし、すこしサボればビリにもなります。高校では中学時代とまったく別次元の成績になることは珍しくありません。
そして、高校の先は大学です。善し悪しは別にして、「最終学歴」はさまざまな意味で人間の一生を左右します。現状の大学進学は、おおざっぱにいって、半数が一般受験、半数がAO・推薦で進学します。一般入試は試験当日のペーパー試験、AO・推薦は高校時代の学校内の成績と小論文・面接などで決まります。つまり、高校時代の成績は大学進学にあたっての重要な評価項目となっています。
多くの場合、高校1年の成績が高校3年間の「指定席」、つまり、高校1年の成績が3年間を決めるといわれます。その意味では、5月~6月に行われる高校の最初の定期試験はとても重要な意味を持ちます。
このようなことから、中学3年生には、現在の勉強に対する意欲や危機感を持ち続けて欲しいと願っています。意欲や危機感は身につけるのは大変ですが、手放すのはとてもカンタンです。実際問題として、高校入試が終わったと同時に手放す子ともがたくさんいます。ですから、そうではなく、高校3年間持ち続けて欲しいと言いたいところですが、まずは、高校の1回目の定期試験まで持ち続けて欲しいと思っています。この期間は高校入試終了からわずか3ヶ月間伸ばすだけです。ひょっとしたら、この3ヶ月が人生を変える可能性があると思っています。
改めて、中学3年生に申し上げます、高校入試のゴールは2月ではありません。5月です。それまで、現在の気持ちを持ち続けて下さい。