2007年4月号……『公立中高一貫校』 塾長/青沼 隆
この春、千葉県では初めての公立中高一貫校が市立稲毛高校に誕生しました。ただ、この附属中学の通学対象地域は千葉市のみ。残念ながら浦安市・市川市民には受験資格がありません。千葉市内では相当な話題を呼んだようで、受験倍率も男子が17倍、女子が24倍、平均して20倍に達しました。
そして、来春より、いよいよ県立千葉高校に中高一貫教育校が生まれます。全国には、すでにたくさんの公立中高一貫校が誕生しています。しかし、トップ校(その県で最も偏差値の高い高校)に附属中学が誕生するのはこれが初めてです。募集定員は男女併せて80名。この定員に対してどのくらいの応募があるのか、県教育委員会もまったくはかりかねているようで、一部では「100倍を超すのでは」という無責任な(?)ウワサも流れているようです。
100倍はともかく、もし、30倍を超えれば抽選をやらざるを得ないとのです。県教育委員会としては、できるだけこれを避けたい意向で、いわゆる「記念受験」はしないで欲しいと呼びかけています。ただ、現実的には30倍は超えそうで、「抽選やむなし」の雰囲気にありようです。
選抜は、抽選を別にして2段階で行われます。1次検査は年内(12月16日)に行われ、これで定員の6倍まで絞り込まれます。そして、2次検査は年明け(1月12日)に実施される手順となっています。
公立中高一貫校と私立中学では試験の内容が全く異なります。私立中学では、4教科(国算理社)の知識量が問われます。それに対して、公立中高一貫校では読解力や表現力が問われます。試験内容がまったく異なるので、公立と私立の併願は避けるべきです。
公立中高一貫の出題内容は、今の子どもたちから失われつつある能力(コミュニケーション能力)を問うものが中心で、考えようによっては、たとえ不合格になっても、勉強する価値が高いのではないかと思います。
この試験内容は、大学入試のAO推薦入試のミニチュア版とも考えられます。AO推薦入試の主体は、小論文であり面接であるからです。また、大学のAO推薦入試は就職試験のミニチュア版とも考えられます。従って、公立中高一貫校の試験は、将来の大学入試や就職試験の“相似形”と捉えることができます。
ただ、公立中高一貫校は1校しか受験できません。私立のようにいくつもの学校を併願できるわけではありません。私立なら第1志望がダメでも第2、第3志望の中学を受験することができます。ですから、受験生はたいてい、どこかの中学に合格して、進学しています。一方、公立中高一貫ではこうはいきません。多くの受験生は不合格となって、地元の中学に進学することになります。中学・高校・大学の全体を見ても、公立中高一貫校の受験は最も「過酷な受験」とも言えます。
くり返しになりますが、公立中高一貫校は試験の内容や、学費の安さで魅力的です。ご関心がありましたらご相談下さい。