2018年1月号……『伸栄学習会の新指導システム』 塾長/青沼 隆
昨年の春から進めてきました、伸栄学習会の新しい授業システム作りが終盤を迎えました。この授業システムはITメーカーと協同で開発してきたもので、国(経済産業省)からも補助金1000万円をいただいて取り組んできたものです。
ご承知の通り伸栄学習会の授業は、パソコンを利用して個別指導で進めるものです。子どもたちは、パソコンで授業を受けて内容を「理解」して、その後、問題演習に取り組み、わからないことや理解の不十分なところを講師から個別指導を受けて「わかる」という仕組みとなっています。
一般の個別指導塾では、問題演習が中心であり概括的な説明が乏しいため、こういう理屈でこうなるという理解や知識が不足がちです。一方、一斉授業形式の塾では個別のケアが不足するため、わからないところがわからないまま、となってしまう問題点があります。伸栄学習会ではこの両者を合体させて、それぞれの弱点を補い、「理解」と「わかる」を効率的に高めることを特色としてきました。
ただ、子どもたちがどのくらい理解しているのか、あるいは本当にわかっているのか、わかった気になっているだけでないのかなどは、教室の講師の判断に任されてきました。言うまでもありませんが、仮に問題演習で○(マル)になったからといって、本当にわかっているかどうかは定かではありません。たまたまの偶然かもしれませんし、半分程度の確信で○になることもよくあります。話を聞いて理解したと思っても、実は誤解だったということは、現実の社会生活でもよくあることです。
講師の力量は大切です。これらの偶然や誤解などを切り分けて、適切に子どもを指導することは講師の責務です。力のある講師の指導には、人を魅了させる何かがあります。ただ、そうはいうものの、何から何まで講師の力量に頼ったり、講師の力量を過大評価したりすることも現実的ではありません。ベテラン講師といえども、個人の能力には限界があると考えるべきです。
こんな問題意識から、個人の力量だけに頼るのではなく、もっと科学的に、もっと衆知を結集した指導ができないかどうかを探ってきました。そうして行きついたのが、現在進めている新指導システムです。子どもの「理解しました」は本物か、「わかった」と言っているが実はわかっていないのではないか、などを講師とは別の判断として取り入れます。そして、子どもにも視覚化して提示できるようにします。
まずは中学の数学を完成させて、今春からの授業に取り入れ、その後、他の教科などにも展開していく予定です。アドバイスなどご意見をいただけたら幸いです。