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2000年8月号……『不平等な社会』 塾長/青沼 隆

この夏、かなり面白い本2冊に出会いました。1冊が橘木俊詔『日本の経済格差』(岩波新書)、もう1冊が佐藤俊樹『不平等社会日本』(中公新書)です。両者に共通しているのは、日本が“一億総中流”と言われた時代は終わりを告げて、上流階級と下流階級に分化した不平等な社会になったという指摘です。

前者の本では、日本の所得の分配が、過去一貫して不平等化に向かっており、特にこの10年間その傾向が著しいこと、その結果、現在では所得の不平等の度合いはアメリカを抜き、世界のトップグループにいることを指摘しています。また、後者の本では、いわゆる“良い大学”に進学して“良い職業”につくのに、日本は誰にでも公平なチャンスが与えられていると信じられてきましたが、団塊の世代以降は世襲による階層の固定化が進んでいること、即ち父親の学歴や職歴によって、子どもの学歴や職歴が固定されてしまっているという指摘がされています。いずれも、これまでの“常識”がくつがえされる内容で、2冊の本によると、日本では所得の分配が公平でもないし、誰でも頑張れば“偉く”なれる社会ではないということになります。

これらの指摘は、例えば、1戸1億円以上もする“オクション”が即日完売になったり、あるいは、東京大学に通う学生の親の平均年収が1千万円を超えていることなどを裏付けているのかもしれません。いずれにしても、これまで無意識のうちに感じていた、「日本は平等な社会なのだ」という先入観は捨て去らなければならないのでしょう。そして、その不平等の度合いは、今後ますます高まることを覚悟しておく必要がありそうです。

一方で、今後よほどの幸運がない限り経済の大きな成長は見込めず、今の平均的な子どもたちは、両親の生活水準を維持することは難しいとも言われています。そうなりますと、全体のパイが少なくなる中で不平等が進行するわけですから、多くの子どもたちの将来の生活は決して楽ではなく、今の豊かさを維持することは相当困難であることを覚悟しなければならないことになります。

ただ、現実の子どもたちはこのような不安を感じているとはとうてい思えません。今の豊かな生活を当たり前として享受し、今後も何とかなると楽観視しています。そして、それらを前提とした上で、勉強や努力は「みんなと同じくらいで良い」とか「そこそこの頑張れば何とかなる」という安易に考えています。多くの人が貧しくなる中で、自分は他人と同じでよいと考えているわけですから、必然的に自分の将来は貧しくなるわけです。しかし、この単純なロジックに気がついていません。将来を考えるよりも、今の享楽を優先する姿は、イソップ童話の「ありとキリギリス」を彷彿させます。

やはり、これからの社会を生き抜いていくためには、「努力」が今まで以上に必要な気がします。今や日本の子どもたちは、アジア諸国及び先進諸国の中で最も勉強していない民族になり果てたと言われていています。ご両親さまの時代は、世界最高峰と言われていたのが、この30年間で逆転してしまいました。ですから、もう、周囲の子どもたちと比較して“少し成績が上がった”と言って喜んでいるときではないと思います。日本規格ではなく世界標準の勉強を進めるべきと思います。

幸い、当学習会の伸栄スフィンクスは、自分の力でヤル気さえあればいくらでも勉強を進められます。“先生に教えてもらう”学習では、先生の決めたカリキュラム以上では学習を進められません。しかし、伸栄スフィンクスではその限界がありません。目標をもっともっと高く定めて学習に取り組み、激動の時代を力強く生き抜いて欲しいと念願します。

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