2000年7月号……『七五三』 塾長/青沼 隆
学校の授業を子どもたちがどのくらい理解しているか、この割合を表す指標として「七五三」という数字がよく使われます。その意味するところは、小学生で7割、中学生で5割、高校では3割の子どもしか学校の授業を理解していない、逆に言えば、小学生では3
割、中学生では5割、高校生では7割の子どもが、授業に落ちこぼれているということです。「七五三」は語呂が良いのでよく使われます。誰がこれを言い出したのか知りませんが、下表の文部省の行った調査結果と照らし合わせますと、実態を反映しているものといえます。
表の「よくわかる」と「だいたいわかる」を合計しますと、小学生で68%、中学生で44
%、高校生で37%となります。概ね「七五三」と言えます。
ただ、問題はこれからです。確かに、授業を理解している割合は「七五三」です。でも、表にある「半分くらいわかる」子どもをどう考えるかです。恐らく、この生徒の大部分は、成績も芳しくなく苦手意識もあると思います。しかし、本人は「わかる」わけではないが、「わからない」わけではないと感じています。このように感じている生徒が全体の1/3もいるわけです。
このような「理解不十分」な子どもは、特に、塾に通い始めの生徒たちに多く見られます。勉強はよくわかっていない、でもあきらめたわけでもない、そして不安を感じている生徒たちです。結論から言えば、この子たちはかなり高い確率で、「わかる」ようになれます。
この層の子どもたちにはある共通の要素があります。それは、問題演習が少なく、くり返しが十分でないことです。要は「知的なトレーニング」量が少ないということです。当初は、授業を聞いたり、教科書などを読んだりして「わかった」つもりになっています。しか
し、勉強が進むにつれて知識の積み重ねが十分に行えずに、ある段階で崩れてしまっています。ですから、ぼんやりとはわかっていても、その実像の焦点は合っていません。テストでもミスをしたり、忘れてしまったりするケースもよくあります。
問題は、このような生徒の多くが「教えてもらえば何とかなる」と思っていることです。わからなくなっている本当の原因が、自分のトレーニング不足にあることに気付いていません。でも、他人の助けを借りれば何とかなると考えている限り、まず問題解決には至りません。なぜなら、断片的な知識を統合化したり、使えるレベルの知識に習熟化するにはトレーニングしか方法がないからです。教えてもらうだけでは、知識の統合化や習熟化を達成することは不可能です。
よく、塾は、「わからないところを教えてもらう所」と思われているようです。確かにその側面は否定できません。しかし、私たちは、自己学習力を身に付けてもらうことこそが、もっと重要な塾の役割と考えています。自己学習力を身に付けるためには、一人ひとりの学習ステップに合った教材、わからないことを自ら調べることのできる教具、壁にぶつかったときに脱出方法を気付かせる教師などが必要です。伸栄スフィンクスはこれを実践している学習システムですが、更にさらにレベルアップしていきたいと考えております。