2012年6月号……『キャリア教育』 塾長/青沼 隆
子どもの将来はご両親さまにとっても重大な関心事です。幼稚園・保育園からはじまって、どんな進路を選択するか、どんな学校を選ぶか節目節目でお悩みになってきたことと思います。そして、これらの決定に当たっては、常にお子さまの将来の仕事や就職についてお考え合わせのことと拝察します。
すでにご高承の通り、昨今の就職状況は厳しく、大学を卒業しても半数近くの学生が正社員になれないという状況にあります。このため、文科省からの指示で、大学はもちろん、多くの中学や高校もキャリア教育に本格的に取り組まなければなりません。就職できない若者、就職をしても3年以内に離職してしまう若者が増加して中で、一昔前のように学校も超然としていられないのが実情かと思います。
一方、学習塾は子どもに勉強を教えるところで、その先の就職支援やキャリア教育については素通りしてきた感があります。また、多くのご両親さまにとりましても、塾や予備校に期待するのは、「大学入学」までというのが一般的ではないかと思います。
ただ、このような中、伸栄学習会では厚労省の委託を受けて求職者のための支援研修を行ったり、あるいは大学受験のAO・推薦対策を行ったりしてきた関係から従来よりキャリア教育に積極的に取り組んできました。
この関連から、昨年夏には、県立浦安高校でNPOとタイアップして「自分のやりたい仕事を探す体験学習」を実施しました。また、この夏には、市内の入船中学で2年生を対象に「営業・事務など基本職種の業務内容を学ぶ体験学習」を行うことが決定し、それに先立ち、今月下旬に同校の先生を対象にした研修会を実施する予定となっています。
成績向上や志望校合格はもちろん大切です。ただ、子どもたちにはこの先に、長い将来が待っています。ある意味、「成績」や「合格」も、その先の「キャリア」形成のために必要な一コマと言えないこともありません。伸栄学習会としては、お子さまの日々の学習を、単に「成績」や「合格」に還元するのではなく、その先の将来を見据える中で指導を進めてきました。
学習塾の役割が大きく変わりつつあるのを感じています。伸栄学習会では数年前より、東京都足立区立中学校や県立浦安高校で夏期講習を行っていますが、一昔前には、公的教育機関の中学や高校などから、「授業をして欲しい」という要請があるなど考えられませんでした。まして、その先のキャリア教育を中学や高校で行うなど夢にも思いませんでした。
学習塾の役割も社会の動きと無縁であってはなりません。「成績」や「合格」はもちろん大切です。ただ、それに留まらずに、その先のキャリアについてもご両親さまの期待に沿える塾に進化したいと念じております。