2015年8月号……『やり直し』 塾長/青沼 隆
待ち遠しかった夏休みがスタートしました。1年を通じて、多くの子どもにとって一番の至福の時と言えます。同時に、伸栄学習会では夏期講習が始まりました。夏の大切さは改めて申し上げるまでもありませんが、今年は、原点に立ち戻って、改めて、成果の上がる勉強法を子どもたちに指導したいと考えています。
伸栄学習会では、これまでも「問題集の使い方」を子どもたちに指導してきました。学力を向上させるたった1つの方法は、これまで、できなかった問題や、わからなかった問題を、「できる問題」にすることです。しかし、これを徹底するのは簡単なことではありません。
成績の良し悪しや入学試験の合否はテストの得点で判断されます。わからない問題は論外として、例えある程度わかっていても「うろ覚え」では得点できませんし、「ウッカリミス」も同様です。自分の力だけで正解に至らなければ1点の得点にもなりません。「できる問題」だけが得点になります。従って、勉強とは「できる問題」の範囲を広げることと言い換えることができます。
ところが、多くの子どもは、何となくこのことがわかっていても、実行に移せていません。問題集に取り組んだとき、正解が多いと気分をよくします。しかし、正解した問題は学力を高めてくれません。間違えた問題こそが、学力を高めてくれる「宝の山」です。でも、この大切なことを忘れています。答え合わせをして、間違いがあっても、そのまま放置してしまいます。例えば、間違えた問題の上に、赤ペンで正答を写しただけで「終わり」にしてしまう、そんなケースが多いのです。
間違えた問題は考え直し、そして自分の力で正答できるようにする必要があります。そのためには、まず、間違えた直後に、その問題を正答できるまでやり直さなければなりません。これですらやっている子どもは少ないのです。そのうえ、実はこれでも不十分です。本当にテストで「できる」かどうかわからないからです。最低24時間経過後に、改めてその問題に取り組んで、自分の力で正答できるようにする必要があります。
これは実行するには、まず、問題集に答えの「書き込み」をしてはいけません。書き込みがやり直しの際のヒントになってしまうからです。次に、間違えた問題には印をつけておく必要があります。印がなければどの問題をやり直すべきかわかりません。それに、とても忍耐が必要であることを認識することです。同じ問題を何度もやるのは苦痛です。新鮮味もありません。
そして、最後にもうひとつ大切なことを。一度にたくさんの問題をやってはいけません。1ページも2ページも問題をやったら、間違い直しをするエネルギーがなくなってしまいます。案外、多くの子どもがこのワナに陥っています。問題をやることに意義を感じて、肝心の考え直し・やり直しの意義に気付いていないからです。
「勉強のやり方」を学ぶことは大切です。この夏、再度、伸栄学習会では、このやり直しを徹底したいと考えています。すこしの時間をいただいて、授業の中で、子どもたちに目的と趣旨を説明したいと思っています。ご理解下さるようお願いします。